聞く毎に、魅力増すアーティスト
今回は久しぶりのシングル曲レビューという事で、スキマスイッチを取り上げてみようと思う。久しぶりに記事のために全てのアルバムを聞き返していると、途端にハマり、これで何回目の個人的なトレンドになっただろうと。それぐらいに曲の魅力が増すアーティストである。
シングルは今回は表題曲のみで、アルバム曲は目立つもの 1,2 曲だけ取り上げるスタイルでいこうと考える。
曲の評価は(C~S)で場合により(+、-)を付ける場合があるが、あくまで自己でつけた基準なので参考程度に見てもらえると嬉しい。では、さっそく紹介していきたいと思う。
1st single「view」
2003年7月9日
メジャーデビュー作品。この発売の2ヶ月後にミニアルバム『君の話』をリリースし、そこではオーヴァードライブMIXとして収録されている。
息もつかせない、ピアノとアコギが入り混じるファンキーポップ系列の作品。この当時からボーカルの大橋卓弥はギターを、この当時はメインで作曲をしていた常田真太郎はピアノを扱っている。正にメジャーデビューからこの体制は変わっていないということに驚く。
オーヴァードライブMIXではピアノとストリングスの音色が変わったぐらいしか分からないが、疾走感としてはこちらの方が強いイメージではある。
メジャーデビューらしい作品だが、彼らが所属しているオーガスタ系列のファンキーさと作り込みが高い作品で、ちょっとだけ分かりづらい曲ではあるかもしれない。後中々に歌詞も強烈でそっちにも印象が引っ張られるのはあるかもしれない。
(B+)
2nd single「奏(かなで)」
2004年3月10日
2枚目のシングルながら、ブレイクのきっかけにもなったスキマスイッチの代表作の一つ。穏やかながらも聴き手をつかんで離さない強いメロディーが特徴的となっている。
後年になっても2006年映画の『ラフ LOUGH』の挿入歌や、2014年にはアニメ作品『一週間フレンズ。』のエンディングテーマとして雨宮天バージョンのカバーでも使用されている。それぐらいにこの曲が未だに聞き手をつかんで離さない理由ともいえよう。
それ以外に本当に文句がつけようがない圧倒的名曲で、スキマスイッチ自身もこの曲を超えるようなバラード作りに四苦八苦したという。それも確かに頷ける。
2017年には、ボーカルテイクはそのままにインストは取り直したストリングスが特に目立つバージョンとなっている。名曲には変わりないが、やはり原曲のあの強さには勝てない気がする。
(S+)
3rd single「ふれて未来を」
2004年6月16日
1stアルバム1週間前の先行シングル曲。今の時代で言うとリード曲且つ配信曲の役割を担っていたのだろう。
正に万人向けのポップス。ここまで清々しいポップ精神は最早聞いていて最高の気持ちよさを誇っている。きっと誰もが楽しめる曲だろう。
私もこのアルバムからスキマスイッチを本格的に聴き始め、最初に一発で気に入った曲だ。カラオケでは歌いずらいのは、初期のスキマスイッチにしては珍しく、大橋自身もライブではサビの冒頭の裏声フレーズを観客に歌わせていることが良くある(というか殆どそう)。
歌詞も瑞々しいラブソングで、初期にしか書けないだろう。とにかく後にも先にもない気持ち良いポップス。ここまでのシングルでジャンルに被りがないのが本当に末恐ろしい。
(S)
1st album「夏雲ノイズ」
2004年6月23日
メジャーデビュー後、ミニアルバム『君の話』から約1年ぶりのアルバム。『奏(かなで)』がロングヒットしたことも相まって、かなりのヒットを樹立した。このアルバムから2曲選出する。
君の話
ミニアルバム『君の話』のタイトルチューンをこのアルバムにも収録した。このバージョンではエヴォリューションMixとなっており、かなりごちゃ混ぜ感が、所謂作り込みがパワーアップしている。
先行曲ながら、このアルバムに収録されたのも頷けるアップテンポな曲調。大分アレンジがファンキーだが、その分何よりメロディーのポップさとサビのキャッチーさは損なわれていない。その前後の曲がバラードとミディアム系列に挟まれており、この曲がより強調されている。ファーストアルバム自体が、ガッチリとしたポップスが多いので『view』やこの曲で大分アルバムの評価を底上げしている。
(S)
下記MVはミニアルバムバージョン
キミドリ色の世界
こちらは同じくアップテンポの系列だが、よりファンキーテイストとなっており実質オーガスタらしい感じになっている。
歌詞も中々にユニークで、元カレが選んだんじゃないかというキミドリ色のカーテンがやっぱり気になるなぁと思う最後の展開にちょっと笑ってしまった。
ストリングスもファンキーさを軽減しているとは言え、だからこそ弩級のファンキーを出したのだろう。もうちょっとストリングスを減らしてファンクな感じは味わいたかった気はする。
(A)
4th single「冬の口笛」
2004年11月24日
ミディアムポップな路線でタイトル通りの冬の涼しさと温かさを感じさせるナンバーとなっている。2006年映画『ラフ LOUGH』の挿入歌に起用された。
この暖かさが本当に心地よく、スキマスイッチ自身も冬系列の歌をそこまで出していない。そのため、冬の歌に対しての力の入れっぷりは如実に凄い事になっているのはこの後からも分かるだろう。
アルバムでは (feat. Takuya ver.) としてアウトロに大橋卓弥のハーモニカが追加されるだけとなっており、そこまでアレンジに変化はない。YouTubeではシングルにするのに抵抗感があったと語っている。だからかアルバムに入れるのであれば、そこまでアレンジしなくても良いだろうという判断に至ったのだろうか。もう少し変化は欲しかったところ。
デモを大橋卓弥が、後を常田真太郎がやっているためスキマスイッチ名義にしている。意見を交わしながら作っている感じも当時のインタビューで見受けはしたので、その影響からなのだろう。(まぁ取り分同じになるしそっちの方が楽か)
(A+)
5th single「全力少年」
2005年4月20日
NTTDoCoMo関西のCMソングとして起用。この曲をきっかけにスキマスイッチの名を全国に轟かせた代表曲中の代表曲。
私が初めてスキマスイッチの名を知ったのもここだし、何分音楽に疎すぎた時期だったのもあった。売上自体は10万越えの中ヒット程度ではあったが、曲の勢いも相まって正に大ヒットしたと記憶している。
歌詞も正に王道の輝き。「あの頃の僕らはきっと 全力で少年だった」という言葉の通りに子供の頃の無敵な気持ちを思い出してくれる。きっと、もっともっと歳を取ってから聞くと更に沁みるだろう。
何年、何十年たったとしても愛される名曲として語り継がれる曲だと思っている。
(S+)
6th single「雨待ち風」
2005年6月22日
カルビー「夏ポテト」のCMソングとして起用された、前作から一転したピアノを中心としたスローバラード。
『全力少年』後の爽快な雰囲気から一転して、かなりどんよりとした重苦しい歌。実際に失恋ソングとして括られてはいるので、そういう雰囲気にはしているのだろう。先行シングルとして出され、更にアルバムの最後に置くことによって何とか存在感はあるものの、普通だったら飛ばしてもいいかなと思うまでに。
後から何回か聞いて、インストにある笛の音が結構気持ちよく吹いており、トータルのサウンドでは意識してたんだなと分かって、ようやくこの曲に愛着は沸いた。
(B-)
2nd album「空創クリップ」
2005年7月20日
『全力少年』のヒットも相まって、このアルバムも大ヒット。オリジナルアルバムでは最大の売り上げを誇っている。このアルバムから2曲選出する。
キレイだ
元々はw-inds.の14枚目のシングルとして提供したもの。それをセルフカバーしている。w-inds.バージョンがEDMな要素が強かったのに対して、スキマスイッチはロックなテイストが強く出ている。どちらも良い味わいがあるが、個人的にはスキマスイッチのロックさが強く出ておりこちらの方が好きだ。
歌詞の語感遊びに磨きがかかっており、カラオケで歌うとかなり気持ち良い曲となっている。この曲を歌うときは、最後に歌うフェイクは出来るだけ歌わず速攻で終了しよう。彼にしかできない技術が詰め込まれてるため、これだけはかなり地雷ではある。
(A)
飲みに来ないか
このアルバムに合わせてビデオクリップも作られた、実質のリード曲のような立ち位置になっている。
イントロから伝わる幸せムードたっぷりな感じは、このアルバムではかなりレア。2枚目のアルバムにして早くも、ミディアム系列やバラード系列の曲が多くなっている。そのため一際この曲の存在感も強い。
サビもキャッチーだし、仲直りしようと葛藤する主人公もユニークで面白い。リード曲になったのも頷ける名曲。
(S)
7th single「ボクノート」
2006年3月1日
ドラえもんの声優陣を心機一転した際の初の映画『ドラえもん のび太の恐竜2006』に起用された。新しくなったドラえもんということもあり、ドラえもんのイメージに寄り添った温かい歌詞が特徴的。これをきっかけにJ-POPアーティストが多々起用された。
『奏(かなで)』のような名バラードをもう一度!という目標で作られたのだろう。大橋卓弥の歌詞も今までにないぐらい気合が入っている。前述したドラえもんに寄り添った歌詞も確かに存在しているが、その根底は自分自身について追及したものであるとYouTubeでここ最近語っており、確かになと改めて思い返すようになった。
正直、もう一度聞くまで全く覚えのなかった曲だったし、その前の島谷ひとみ『YUME日和』が大好きだったことも相まって忘れかけていた。しかし、聞き返すと確かな名曲だったんだなと思うようになった。
(A+)
8th single「ガラナ」
2006年8月16日
映画『ラフ LOUGH』の主題歌として起用。前述にもあった様々な曲が映画の挿入歌にも使用された。勢いに溢れた爽快な展開をガラナに見立てて制作した。
歌い方もかなり荒っぽく、ファンキーっぽさはあるが今までのスキマスイッチにしてはカッチリとしていない。その躍動感はシングル通して随一だ。
その躍動感からライブ盤では、『奏(かなで)』と同等の高い確率で採用されている。個人的にこの曲調とストリングスの疾走感が上手く合わさって最高だ!と感じた。とはいえスキマスイッチのシングルの中では長持ちがあんまりしなかった。しかもC/Wの『スフィアの羽根』が王道のポップスであり、そっちの方が何回聞いても飽きなかったこともあり、徐々にリピート回数は減ったが名曲には変わりない。
(A+)
9th single「アカツキの詩」
2006年11月22日
3rdアルバム『夕風ブレンド』1週間前に発売された、先行シングル。1週間前にシングルを出す習慣はここで終わっており、今後はリード曲として立ち振る舞うことになった。
秋の風が心地よく感じる時期に聞くと、本当に癒される最上級の名曲。当時『夕風ブレンド』を友人の影響で聞くようになって、真っ先にこの曲が気に入った。(友人は『ズラチナルーカ』とかが好きだった気がする。)
とにかく、何回聞いても飽きないスキマスイッチの魅力が全力で出されている。全体的な感じは小ざっぱりしていると言われればそこまでだが、イントロのギターの音や『雨待ち風』にも使用された笛の音が心地良い。それを聞きたいがために、アルバムも何度も聞いて最終的には『奏(かなで)』よりも好きな曲になっていった。
改めて聞いてもやっぱり名曲だし、サビの高揚感はいつ聞いてもたまらないと感じる私がいる。
(S+)
3rd album「夕風ブレンド」
2006年11月29日
「漢字+カタカナ」シリーズ3部作の締めとして作られた本作。制作後にシングル『マリンスノウ』を出し、一旦休止を宣言することに。このアルバムから2曲選出する。
藍
詞曲はスキマスイッチとなっているが、主なメインライターは大橋卓弥。常田真太郎はこの曲を聴いて手の付けようがないとYouTubeにて語っている。ファンからも絶大な人気で2012年の人気投票では2位になるほど。
最初のナンバーにしてじっくりと味わうバラードナンバー。大橋卓弥のソロ活動にもつながったとも考えられる。ピアノとギター、ストリングスとドラムといったシンプルな構成。だが、アレンジが練られており退屈にさせていないのが憎いところ。
スキマスイッチバラードの良い所を出したところで勢いある『ガラナ』を出すことで、シンプルさがより際立った。
めっちゃ繰り返すほど大好き!って訳ではないのだが、スキマスイッチを語るときには必ずと言ってもいいほどトピックにはなっている。
(B+)
惑星タイマー
同年にオーガスタ系列の合同ユニット「福耳」の4枚目のシングルとして発売されたのをセルフカバーした本作。オーケストラバージョンとしてカバーしている。バンドバージョンはベスト盤のみの収録となっている。
福耳のシングルとはいえ、完全に歌いまわしや歌詞がスキマスイッチそのもの。福耳とのバージョンと聞くと合唱としてもソロ歌唱としても合うのは、大橋卓弥の歌唱力あってのものだろう。
福耳としても杏子主体のユニットだったのが、本当の意味で合同ユニットと化していったという事もあって、かなり大事な曲だと感じる。
アルバム自体にも遜色なく入ってたり、この他にも様々な曲が散りばめられていたことから本当に全力だったんだろうなと思う。
(A+)
10th single「マリンスノウ」
2007年7月11日
明治製菓「アーモンドチョコ」のテレビCMに起用された。この曲を出して約1年の休止をすることになった。
ベスト盤の先行シングルなのだが、結構重たいバラードナンバー。マリンスノウと"スノウ"が入ってるので冬ソングかと思いきや、海中で見られるプランクトンを意味しているので発売時期と合わせて何と夏の歌となっている。
これが夏なのか・・・?と思って何度聞いてもそんなに定着はせずに、安定した良いバラードというイメージで固まってしまった。10枚目なのでもうちょっとアニバーサリー感は欲しかった気がする。それぐらいに初期のスキマスイッチとしてやり尽くした結果なのだろう。
(B)
終わりに
この後にベスト盤を出すので一区切りとさせていただく。次回は11枚目のシングル『虹のレシピ』から19枚目のシングル『Hello Especially』までにする。計3つでやっていくので興味があれば是非。
karonsenpai0912.hatenablog.com