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【槇原敬之】愛されるべき人たちとその人生。-Lovable People【レビュー】

愛されるべき人たちを少し上から覗いてみよう

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今回は槇原の近年屈指の名盤ともいえる「Lovable People」をレビューしようと思う。
タイトル通り、今のマッキーの恋愛ソング。レビューするのが非常に楽しみだ。

評価は(C~S)。場合により(-、+)を付ける場合があるがそこはご了承を願いたい。それでは、早速レビューをしよう。

 

01.Theme for Lovable People

今回のOP曲。「悲しみなんて何の役にも立たないと思っていた」以来のイントロダクションである。

一部今回のラスト曲「Alone」が使われている。そこから優しく「ミタテ」に入るため心が壮大な気持ちになりながらも次につなげてくれるような曲調である。

(省略)

 

02.ミタテ

「Theme for Lovable People」から自然と繋がっていく優しいバラードソング。作るのになんと3年もの歳月をかけている。だいぶ作詞に苦労していたらしい。

歌詞は別れてしまった恋人を思いながら、近所の人と桜を楽しむ歌詞。最初聞いたとき死別してしまったのかと思ったら実は、そうでもないらしい。

桜ソングでの別れの曲はいくつもあるが、近所の人と今では元気でやっているような歌詞を書ける槇原の才能は素晴らしい。名曲である。

(S)

 

03.Life goes on~like nonstop music~

TV番組「ノンストップ」が始まって3年間、テーマソングとして起用された。シングルジャケットにデビュー以来似ていると言われてきた設楽統とともに写っているのが特徴的

何回聞いても新鮮味溢れるサウンドが何回もリピートしてしまう。

歌詞はシングルとしては初めて女性目線で描いた曲。ありのままに生きる女性を応援する歌詞となっている。

だが、だた単に「頑張れ!」という感じではなく「頑張ったね」という共感を持たすような歌詞が優しさに溢れている。「同じ形じゃなくて良い 違うならそれはきっとカタログの新しいページいつか未来のスタンダード」という歌詞がお気に入り。

今作トップクラスに好きな曲である。

(S+)

 

 

04.可愛い人

打ち込みやコーラスなど、今までの槇原らしいポップスソングとなっている。

歌詞はありのままになった方がきっといいよ、だから自分を飾らずに生きてみようと投げかける歌となっている。タイトル的にある意味タイトルチューンとなっている。

「どんなときも。」のような自己啓発ではなく、相手に対して言っているように感じ取れる形で少し微笑ましい曲となっている。しかし、このアルバムを聞いた後にこの曲の印象は少し薄くなっていた。歌詞のすべてを一回で汲み取ることが少し難しいからなのか?

(B+)



05.君の書く僕の名前

微笑ましさが伝わってくる一曲。意外なところに焦点を当てたラブソング。こういうのを歌に出来るのは中々いないのではないだろうか?

歌詞は字が下手なので恋人に書いてもらい、その恋人は掃除が下手なので主人公がやる。

そこからお互いを支え合う大切さ、人には必ず得意不得意があるんだよということを伝える歌詞。ありふれた日常からラブソングに昇華できる槇原の技術にやはり感服である。

(A)

 

06.鋭く尖った細い月

陰の雰囲気漂わせるロックナンバー。この歌詞に出てくる主人公は思春期真っ只中、かなり共感できる歌詞となっている。

歌詞は恋人か友人とかは分からないが、夜にお忍びで学校のプールに潜入するという歌詞。家から飛び出してきたのだろう。歌詞に書かれてある「だいたい何がダメなことで 一体何が良いことか ノートに書き写すだけじゃわからないだろう?」や「僕はやっぱりずっと不確かな今は好きだ」のような思春期特有の尖っていた心を、あの日プールで夜空を見上げた時に写っていた鋭く尖った細い月になぞらえている。

何度も繰り返し聞きたくなるようなキャッチーなロックサウンド。中毒性あふれる一曲だ。

(A+)



07.新しいドア

前半ラストの曲。優しいバラードナンバーで締めくくる曲。MBSの「ガン検診啓発キャンペーン」のテーマソングとして起用された。そのため歌詞に「ガン検診」というワードを使っている。年を取った父の目線で描いた曲

歌詞はみんなで一緒にいられる幸せならば、勇気をだして怖いと思えるようなことにも挑戦しようという歌詞である。特に「どれだけ長く生きるかは神様だけが知ってる でもどんなふうに生きるかは僕らが決められる」という歌詞が印象的。

幸せのために一歩前に推し進めてくれる勇気をくれる歌。公式にあげられているのでぜひ聞いていただきたい。

(A)

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08.Once Upon A Long Ago

Paul McCartneyのカバーソング。原曲は聞いたことがあるがPaul McCartneyの曲としては地味というイメージがついていたのでどうなるか不安だったがやはり、その地味感は拭えなかった。

ただし、それにより、アルバムの前半と後半のバランスが上手に保っている

しかしこの年代になっても英語の発音が綺麗なのは素晴らしい。

(B)

 

09.言わせてください

槇原の中で初めての演歌ポップス。しかしそこまで敬遠するほどでもない。この曲のせいで、大半の曲が全部押されてしまっている。それぐらいにインパクトのある曲だ。

歌詞は槇原が25年間ファンと一緒に歩いてきたんだよ。というファンへのありがとうソング。ファンにとってこれほど感涙できるものはないだろう。

25年たってもこのような新たな挑戦に挑める槇原の今後に十分に期待できると思った一曲である。

(B+)

 

10.Fall

先行シングル曲。EDMサウンドが特徴的なダンサブルな曲。ドラマ「今日は会社休みます」の主題歌に起用された。人気ドラマとあってか、知名度はまあまあ高い。

歌詞は今まで恋という恋に出会ってなかった主人公がいざ恋に落ちるともうその恋からは逃げられない、という感じの歌である。

正直歌詞はドン引きだが、「昨日と今日が知らずに入れ替わってたとしても 気づけないような日々を歴史と呼べず悩んでいた」や最後に出てくる「いやだ!」の連続。

槇原の歌詞とは到底思えないような中々にスタイリッシュな歌詞である。ファンからは「SPY」のような怪しい雰囲気を醸し出した一曲と言っている人もいるがそれとは少し違う。

メロディーラインが陽の雰囲気を出している。そこが「SPY」と違うと言えよう。

槇原の新たなセンスを呼び起こした一曲と言える。

(A+)

www.youtube.com

 

 

11.Elderflower Cordial

聞いているだけで横揺れをしたくなるようなケルト音楽が特徴的な一曲。槇原のケルト音楽の集大成ともいえる。ちなみにこの一部メロディーは「Dawn Over the Clover Field Concert」のOPとして使われていた。

歌詞は国際交流をテーマにしている。遠い国へと遊びに行ったとき出会った友人に今度はここにおいでよとちゃんと言えるように僕らは出来るはずだという、軽やかな音楽ながら少し難しいテーマを歌詞にしている。

歌詞の中にもあるように「例えばどんなものにも精霊が宿っていると信じてることを 時代遅れだと言うなら進んだ世界にどんな意味がある?」や「退屈とは無縁の都市の影で 飢えた子供や仲間はずれが怖くて従う人もいる」などの少し重い歌詞。
しかし、それも全ては
ここにおいでよとちゃんと言えるためにおける大切なこと。それを、軽やかなメロディーで一緒に歌いたくなるような物を作り出す、名曲には変わりない。

(S+)

 

12.君への愛の唄

ミュージカル「愛の唄を歌おう」のテーマソングとして起用。純真な愛の気持ちを伝えるピアノを主張としたバラードソングである。

結婚ソングとして流しても違和感はない。

歌詞は前述通り、純真な愛の気持ちを伝えているのだが、すでに1番で完成されてしまっている印象がある。2番に関してはラブソングとは何なのかを歌っているため、補足のような説明になってしまう。

語りかけるような形なのならば、もう少し伸ばしても良かったのではないか?と思ってしまう。

(B)

 

13.Alone

今作ラストを飾るED曲。槇原史上最大の7分半にも及ぶ大スケールながらもその長さを感じないと思える歌。

歌詞は一人じゃ何もできないと思う主人公に対し、彼が一人でも出来る証拠を示すことができると伝える歌。しかしその彼は遠い昔にとられた写真の向こう側から語りかけているというオチを含めても相当に凄いと思える歌詞。

歌詞の「困難なほど向かう道が正しい証拠なんだ だって絶望は希望とかそういうのが嫌いだからさ」という歌詞は名言

決して消えることのない情熱の炎をいつまでも持っていたいと思う、スピリットを感じさせる歌。ラストを締めくくるにあまりにも完成させられている歌である。

(S)

 

【総評】

25周年、20枚目のオリジナルアルバム。記念すべきこのアルバムは、普通に聞いている身として、安定の一作であった。

しかし、そこには確かに新しいことに挑戦している槇原の姿が見えている。近年の中ではずば抜けて名盤なのは間違いない

また、ファンは今の「君は僕の宝物」と言っている人が多いが、個人的にライフソングを突き詰めた結果、ラブソングが豊富になったということで良いと思う。

(S)