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【槇原敬之】どんな所にいても、そこには愛がある。-Such a Lovely Place-【レビュー】

優しさに包まれるアルバム。

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今回は槇原史上屈指の名盤とも言えるソニー在籍時最初のアルバム「Such a Lovely Place」をレビューをしようと思う。

バラエティ溢れるアルバムを紹介するのは非常に楽しい。

評価は(C~S)。場合により(-、+)を付ける場合があるがそこはご了承を願いたい。それでは、早速レビューをしよう。

 

01.うたたね

今作を飾るOP曲。スローバラードな曲となっている。また、後述するがサビのメロディーには「Such a Lovely Place」の間奏部分に使われており、より一層このアルバムに統一感を出している

歌詞は思い出を振り返る主人公を元にしている。この歌詞の主人公はおそらく槇原史上最高齢の老人である。思わず自らも転寝しそうになる曲だが、ゆったりできるBGMなのに対しかなり歌詞に切なさが出ている

ここからの曲で一気に主人公が若く感じるのはこの主人公の思い出なのだからだろうか。

(A+)

 

02.Fan Club Song

「うたたね」から一転、一気にポップさがますアップテンポな曲。

歌詞は恋愛をファンクラブに例えたもの。途中途中に入る素の槇原ボイスに思わず笑ってしまいそうになる。

特に「好きになれないものは無理せずに知らん顔するのも思いやり」という歌詞が好きである。かつて槇原敬之を一気に有名にあげた「どんなときも。」でも「好きなものは好き!と言える気持ち抱きしめてたい」と歌っていた。

好きなものは好き!だからこそ嫌いなものまで好きにならなくていいという槇原らしいテイストが含まれている。

さらにここからもっと豊かなポップソングが披露されていく。その前座として非常に丁度良い曲ではないかと私は思う。

(A)

03.Cleaning Man

聞いているだけで微笑ましさが伝わってくるポップナンバー。

レストランの清掃員を主人公にする槇原の歌詞の視点の発想にやはり頭が上がらない。

歌詞はレストランで清掃員を務めている主人公が恋人にレストランで告白をするというときめきを感じる歌詞。

まさにドラマチックという言葉がこの曲に一番似合うのではないだろうか。

「恋人たちが床に落としていったパンくずと愛の言葉をほうきで集めよう」という歌詞が最高にたまらない。隠れた名曲どまりにするのが非常にもったいない曲だ。

(S+)

04.モンタージュ

先行シングル曲。ドラマ「恋の片道切符」の主題歌として起用された。Sony時代の収録曲の中で売れ線を突き抜けたポップナンバー

歌詞は相手に一目ぼれをしてしまった主人公を歌にしている。主人公の初々しさが伝わってくる

「冷やかし半分の友達の取り調べ」「使い方の分からないカメラでとったピンぼけ写真」の歌詞。極めつけは「僕のハートを盗んだ犯人は電車で二駅の所で今日も笑ってる」などの圧倒的な歌詞のセンス。

「耳が赤くなっていく音」の表現がよく分からないが、多分沸騰するぐらいに赤くなった耳をヤカンの沸騰する音に例えているのだろう。

槇原の圧倒的な歌詞の上手さを教えるならば本当にこの曲がオススメである。

(S) 

 

05.手をつないで帰ろ

ここまでのポップソングを落ち着けるかのようなバラードナンバー。

歌詞は高校生ぐらいあたりのカップルのデートシーンを描いている。前曲と同じようにとても初々しい。

多分このカップルはバレたらお互いに恥ずかしいからなのか学校で会っても目を合わせるだけだという。初々しくて尊い気持ちになる。

またサビの関西弁を使ってもあまり違和感がない所も凄いが、とくに歌詞の「僕らの日曜日は夏休みほど長くない」という歌詞に感動すら覚えてしまう。

余談だが槇原が「神宮前ヴェランダスタジオ」のラジオで弾き語りを行ったこともある。ここでは紹介できないが一聴の価値ありである。

(A) 

 

06.素直~Album Version~

シングルバージョンはピアノの弾き語りだが、アルバムバージョンは室内のバンド感を出している。どっちかで選ぶとシングルバージョンの方が好きである。

度々CMなどでも使われているため知名度は高い。

歌詞は寂しがり屋の君がこれ以上寂しい人を増やさないように笑う君に対して主人公が感じた気持ちを歌にした曲。「「ごめん」じゃなくて「ありがとう」」という歌詞にこれ以上ない訴えを感じる。全ての歌詞に無駄がない。まさに名曲と言える。

ちなみにこのアルバムバージョンのイントロ前に本当に小さいが「1,2,3」という合図の声が入っている。

(S)

07.情熱〜Album Version〜

これまでの優しさ溢れる曲から打って変わったファンクテイスト溢れる一曲。

シングルバージョンではかなり軽いテイストになっており度々なるギターの音色が心地いいが、アルバムバージョンではより音に重圧が増し、アクの強い一曲となっている。

歌詞は友達以上、恋人未満というかなりややこしい設定の曲となっている。

しかし、主人公自身はもう縁を切ろうとしているのか相手の事を応援しているテイストが入っている。それが愛おしいというのだからこの主人公の気持ちがよく分からない。

ただ、次の曲に比べたらまだマシな方かもしれない。

(B+)

08.印度式

槇原史上、最凶のお遊び、それ以上の何かを感じざるを得ない歌となっている。

サウンドテクノな感じになっており曲だけ聞けばわりかしインドの民謡っぽいテイストも入っておりなかなかいいと思うのだがそこに歌詞が凄い勢いで邪魔をしてくる。その歌詞がモテるために脱毛や脂肪吸引をやろう!という歌。それだけならまだいいのだが色々なところに意味不明なラップや合いの手が入ってくる。

相撲部員って・・・w

評価として低くしようにもそれはどうだろうと思い、かといって高くするわけには絶対にならない。中毒性あふれる曲だからこそどんどんと評価が取っ散らかるのだろうか。

正直この曲は判定不能である。だれかこの曲の一番正しい評価を教えてほしい。

(???????)

09.僕のものになればいいのに

聞いているだけで気怠さが伝わって来る一曲。曲の気怠さと歌詞のマッチ具合が異常だ。

歌詞は、彼氏がいる彼女に恋してしまった歌。過去の「Witch Hazel」のような危ない恋、それ以上の何かを感じてしまう。聞いているだけで大丈夫なのかと感じてしまう。

そしてサビで「僕のものになればいいのに」と生々しく歌っている。ボーカルにも若干ながら加工している。

女性の声が所々入っていたり女性の感情が生々しく出ていたりと、ここまで2人称のことを隅々まで書いた曲もなかなか珍しい

(B)

10.足音

後にシングルカットとなった曲。冬季長野オリンピック聖火ランナーのテーマソングとして起用された。静かなバラードであると同時に槇原の力強い声が特徴的な一曲

歌詞はオリンピックのタイアップとも考えてか、自分の信じる道を頑張って進んでいこうという応援歌テイストとなっている。

しかしこの曲に槇原の苦悩が表れている。この時期に友人が焼身自殺をしていたこと、これ以上ラブソングを求められている状況に嫌気が出ていたことに対しての槇原自身の考えを表明した歌ともなっている。

槇原の歌を語る時に切っても切れない大切な曲として今も語られている。

(S)

11.Such a Lovely Place

イントロだけで既に名曲と感じさせる一曲。今作のEDを飾る曲、そしてタイトルチューンである。聞くだけでまるで1つの物語が終わるかのような壮大な曲。「うたたね」でも紹介したが、間奏に「うたたね」のサビのメロディーが使われている。おそらく「うたたね」の主人公とこの曲の主人公は同一人物なのだろう。

歌詞は全ての人たちに優しく背中を押してくれる。
「いつまでたっても僕らは君の味方だよ」「何も変わっちゃいないさここにはちゃんと愛がある」と、例え君が、どんな所にいたって大丈夫、どんな場所にも愛があるから
という槇原のライフソングの創生曲だと言える。

焼身自殺をしてしまった友人に対して贈った曲でもある。

また、最後に歌詞には載っていない英語で歌っている箇所がある。
そこでは誕生を表している歌詞になっている。是非聞き取って翻訳してほしい。もっとこの曲が好きになるはずだ。

これが私が今まで色々なポップスを聞いた中で最強の名曲だと言える。本作はこのために買ったとしても100%満足できる作品である。

余談だが、「cELEBRATION 2015」でこの曲が披露された。大変に素敵なので一聴の価値ありである。この曲のために買っても絶対損はさせないと言い切れる。

(SS++)

 

【総評】

如何だっただろうか。この頃の槇原のテイストとして訴えをかけるようなテイストが見れるのが新鮮だ。

ソニー時代独特の空気感と、それに負けない圧倒的な曲のクォリティ。

私は「Cicada」が最高傑作と思っているが、この作品も負けず劣らずの作品だ。

印度式」のぶっ飛び具合にかなり戸惑うがそれでもこのアルバムは大好きな作品だ。是非見かけたら手に取ってほしい。

(S+)